思考溜り

その名の通り、ここには思考が溜る。どんなに崇高でも、下賤でも、わたしの思考の全てはここに溜る。

『ロスト・エコーズ』感想

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えー、本作、まぁ事前の情報で問題点は多いもののそれを上回る良さがあると言われ、そのつもりで読み進めた。なので主に評価の基準としてそれがあるということは留意いただきたい。

ということで良かった点と悪かった点、それぞれを明確化したいと思う。

先ずは良かった点

  • キャラ同士の掛け合いが面白かった
  • 過去パートは現代パートとは違う面白さがあって、終始飽きずに読むことができた
  • 話の本筋自体は良かった
  • Vをヴと表記していた

宜しくない状況に陥ってしまった幼馴染を過去改変して救う、これ自体は全然面白そうだし、実際読んでても名作たり得る力はあったと思う。うん。うん。でも名作ではなかったね……。どうしてこうなった……は悪かった点に書くので一先ずここでは良い点を書くわけですが。晶穂ウザと思ったりする部分はあったけど基本的にテキストは引き込まれるものであった(一部晶穂√の後半等失速していきなりつまんなくなったなと思うところはあるけど)。確か本作のライターは桜城十萌氏だったか、多分彼の実力なんだろうなと。

まーほんと、キャラが良かったのでね……。割とそれだけで楽しめた。とはいえ500円セールで買ったものなので相当のクソゲでない限り元取れないということもないので満足度で言えばかなり高めなんですが。因みに好きなキャラ、

琥珀≧千羽耶≧誾千代>結佳>加弥>武緒>雛緒>晶穂

といった具合。上三人はとても好き。

それと、えっちシーンは結構よかった。絵ではなくテキストが(絵も良かったけどえっちさについてはそこまで)。

続いて悪かった点

  • 構成がところどころおかしい
  • ストーリー上の矛盾点がちらほら
  • 一部展開が雑

ごめんなさい、正直今回はこっちがメインです。

本作は最近のゲームにしては割と選択肢は多い方かな、と思うのだけど、その選択肢に振り回されてるというか。選択肢後に明らかにさっき聞いた話をまたするということがあった。一応スルーすることもできたので、そうすれば違和感なく読み進めることができるとは思うが、今から戦国の世に行きます。それについての情報です。……聞かないわけないじゃないですか?

それと雛緒√に入る時の共通にて、雛緒ではない誰かが雛緒の体に表出するというイヴェントがあった。よくわからなかったがその時は雛緒√の布石かなと思い無視したのですが、おかしい。雛緒√終わってもそれについての言及が一切ない。それどころか最後まで終わっても何一つ言及がない! 未完成疑惑あるなこれ。まぁこういった具合に、抑も蒔いた設定を回収しきれていないということもまた減点ポイント。

他には里久の寿命について。卯実じゃないほうの神(名前忘れた)との契約で里久の寿命を1万日奪うというのがあったけど、結局影響はないに等しかった。里久のその後を思えば~なんてことを言う人もいるかもしれないけど、私としては作中に出ていないのだから影響はない、というか意味がない。

次に矛盾点について、加弥BADで里久は加弥と性行為をしてしまったために戦国の世に残されてしまった。一方誾千代との別れの時、性行為をした。しっかり中に出して。武緒のときはいい。中に出してないと明示されていたから。でも誾千代との行為時はしっかり中に出していたと思うんですよ。未来を見たら加弥は孕んでたけど誾千代は孕んでなかったとか、そういう話ですかね? もしそうなら明示しないと成立しないのでないとは思うが。

で、次は展開が雑だったことについて。これは全体を通して言えることだけど、晶穂√がかなり顕著だった。新しいイヴェント始まったと思ったらもう終わりそうとか。起結の繰り返しをずっと見てる感じ。晶穂√、本当に本作随一のつまらなさ。次いで卯実√。雛緒と琥珀はまぁよかった(出来自体は琥珀>雛緒)。結佳については普通に楽しめた。でもやっぱり全体的に展開が雑!

 

正直悪い部分を挙げると本当にきりがない。でも結果的には面白かった、そう思いはしたのでOKみたいなところある。

どこが良かった? と聞かれると私は迷わず過去パートと答える。それぐらいに過去パートは良かった、というか引き込まれた(ずっと過去パートでもいいくらい)。

刺さる刺さると言われたものの、実際はどうだったか、と言えば刺さることには刺さりました。過去パートある程度進めたあたりで胸にゲイボルグがね……。ただまぁ、気が付くとそれがコンバットナイフに代わっていたのはご愛敬。

名作足り得る、それはそう。名作足り得る作品ではありました。

 

点数:68/100 文章:6/10 味:旨味