思考溜り

その名の通り、ここには思考が溜る。どんなに崇高でも、下賤でも、わたしの思考の全てはここに溜る。

『恋愛×ロワイアル』感想

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はじめに

最後にアサプロ作品をやったのはいつだろう。とりあえずやったことがあるくらいしか記憶にない。その程度の認識。まぁどういうコンセプトで作品作ってるかってことぐらいは知ってるので、キャラゲーとして大いに期待を込めて購入した。結果、その期待を大きく上回る出来であった。キャラ同士の掛け合いは無論、全体として衰えることのない勢いと、決して疲れさせない絶妙な緩急。また、今作のストーカー気質のヒロインたちの設定もうまく、昨今キャラゲー、特にキャラ同士の掛け合いをメインとするものは共通√の勢いが個別のヒロインに焦点を当てるために衰えてしまい、個別が微妙だと思わせてしまうものが多かった。今年で言えば、『放課後シンデレラ』がそれに該当する。共通であまりに濃いギャグを連発してしまったがために、個別の穏やかさに物足りなさを感じてしまった。一方本作は、個別に入ってもヒロインたちが執拗に絡んでくるため個別に入っても共通と同じテンションで見ることができる。ここですごいと思ったのが、それを単に共通と同じノリで見れるということだけでなく、しっかりと恋愛ものとしても高水準にあったという点だ。終始バカみたいなノリで過ごすというのがアサプロのイメージだったので、面食らってしまった。後述するが、由奈√と蓮菜√に関しては特に出来が良く、私が70点後半をつけるよな恋愛物語に匹敵する感情の揺れを観測した。加えてそれを飽く迄ギャグメインのシナリオであることを忘れず、良い形で最終的にギャグに持って行ったのもまた良し。ただ、ギャグに関して一つ。これは賛否別れる要因にも、高評価の要因にもなり得る。それが流行り廃りの激しい言葉、具体的にはネットで使われるような言葉が多分に使用されていたことだ。これによってある層には普通に受けるだろうが、またある層には避けられる可能性が出てくるだろう。まぁつまり、おっさん受けは悪いかもしれないということだ。

まり√

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私は幼馴染には2種類いると思っている。一つが純友人系幼馴染。もう一つが恋愛発展可能性あり系幼馴染。飽く迄傾向だが、前者は主人公と同性、後者は異性の場合が多い。……筈だ。本作のまりに関しては、前者であった。そう、前者であった。これは男が多いということから察せるように、恋愛感情を抱けるような関係ではない。ある種家族への親愛ととれば聞こえはいいが、エロゲとして、しかもセンターヒロインとしてはあまりに致命的である。まりは主人公の初恋の相手だ。そこまではよかった。しかしそれで終わりだった。主人公と再会してからのアプローチが過剰すぎた……。これがサブヒロインならまったく無問題どころか寧ろウェルカム。それは前述の通りギャグ要員として最適だから。だがセンター、てめーは駄目だ。

実際せっx直前に主人公のアレが勃たないという事件もあった。わかる。大いにわかる。シナリオも恋愛というよりは純友人系幼馴染と乃日常(せっxあり)みたいな感じだった。エロゲにエロいらなくね論争にどうでもいいところで横やりが入ったなぁ。やめてくれよ……私この論争に加わることほど無駄なことはないと思ってるから……。

ところがどっこいまりはやはりサブで輝いた。他キャラの√ではいい感じに幼馴染としてキャラが立っていたし、笑いもとっていた。彼女はただ、友人だった。それだけなんだ……初恋のまりちゃんはもういないんだ。まりちゃんはもう、ただ仲のいい幼馴染ってだけなんだ。もう、存在がギャグみたいなもんだから……。

乃々香√

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ヤンデレ妹ヒロイン。シナリオとしては一番起伏が少なかったかと思う(それでも十分に面白かったが)。なんだかそんな真剣に考えずに感傷のまま乃々香に流されて付き合ったみたいな感じでそれでいいのかと思うような描写が割とあったが、乃々香は別にどうでもいいって感じなので気付いたらこちらもどうでもいいな、となる。

汐音√

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ひっじょうに、言いにくいことだが、残念だ。あまりに残念だ。残念で仕方ない。プレイ前、私は汐音√が一番楽しみだった。白髪で背が高くて、おまけに頭もいいらしい。個人的に最高だったのでウッキウキで始めたらどうしようもないアホだった。先のまりにも似たような感覚、つまり恋愛対象として見ることができないのだ。見ていてつらかったし、偶に言う真面目なことも滑稽でしかなかった。本当に、残念を具現化したような存在だった。ただ、これもまりと同じく、サブとして輝くキャラではある。尤も、まりにそのポテンシャルで及ぶということはないが。

公式のキャラ紹介で好きなもの詰め合わせだと思ったら寧ろ苦手なもの詰め合わせっていう割と稀有なこと、なかなか出会える気がしない。正直√入っても無で進めるんじゃないかなとも思えるが、そうは問屋が卸さない。蒼ちゃんという存在がまたメイン以上の存在感を発揮して、素晴らしいものにしてくれた。いちいち入るツッコミ、これがまた秀逸。何となく癖になる声も相まって何度も笑わされた。お気に入りヴォイスの登録数も2番目に多い。

蓮菜√

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まさか、まさかまさか、まさかのですよ。まさかこの子にシナリオ一番力入ってるとは思いもしなかった。プレイ前はそこまで気にかけてなったのに終わったらもうニコニコ。可愛すぎて八日なのか氏ありがとう。蓮菜最高だよ。

はじめにで話したけど、シナリオも普通に高水準で、ギャグと恋愛物語の奇麗な両立ができていて大変満足できる仕上がりとなっていた。「可愛い後輩」、うん、可愛い後輩なんだ。本当に可愛いなぁ……という具合に、語彙が死亡する。「キャラゲー」の到達点を見た気がする。

由奈√

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あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……! 由奈ちゃん!!!

さっき蓮菜で語ったこと、決して嘘ではない。ただ、それ以上に愛おしい存在がいた、それだけなんだ……。由奈ちゃんがね、もうね、可愛すぎてですね、10年分くらいのニコニコをした。それに蓮菜√での物語としての素晴らしさも基本由奈ちゃんの存在あってのことなので、やっぱり由奈ちゃん最高っていう結論に至ります。加えて由奈ちゃんとの出会いと別れも非常に強く感情に訴えかけるものがあるので、他√での彼女の想いを慮ると、胸が締め付けられるような感覚に陥る。

いやまさか、サブ的な扱いと思われていた由奈ちゃんがこうもメインヒロインの風格を醸し出してくるとは誰が予測できたか。

おまけ√

イインチョと千弥と良徳。イインチョはまぁ、本当におまけって感じ。

千弥はこともあろうかせっxすることになる。嘘とかそういうんじゃなくて、本当に千弥とせっxする。

良徳は本作のTRUEですね。間違いない。

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最後に

全体として満足度は非常に高い。何なら今までプレイした「キャラゲー」の中でもかなり上位に入るレベルで面白い。ギャグの入れ方、キャラの立て方、シナリオ、どれをとっても非常に高い水準で、合う合わないを感じる表現はいくつかあったものの、それを差し引いてもやはり満足度は高い作品だったと言える。

 

点数:78/100 文章:6/10 味:甘々