思考溜り

その名の通り、ここには思考が溜る。どんなに崇高でも、下賤でも、わたしの思考の全てはここに溜る。

2020年のえろげについて

2020年終わり。

今年出たえろげについて語る。

それでは。

 

 

『白昼夢の青写真』

エロゲ史に残る傑作に‘‘なり得た‘‘作品。だが、悲しいかな、本作は名作という段階で止まってしまった。その理由として二点、挙げられる。

一つがCASE0の展開があまりに捻りがなく、予想通りに事が運んでしまったこと。全体の内容自体かなり良くできていたと思うし、実際面白かった。また、CASE1~3とCASE0への繋げ方も見事で、ライターの力量を感じさせるものであった。肝心のCASE0も面白いと言えば面白かった。だが、先の展開があまりにテンプレートに沿ったものになっていて、驚きに欠けている。話のジャンル自体が面白さ、驚き、悲しみ、そういった感情を詰め込まれた抑もの時点で完成されているジャンルであるために、工夫を怠ってしまったと感じざるを得ない。ただ勘違いしないでほしいのが、これによって作品の完成度が大きく落ちたというわけではなく、飽く迄「傑作」になるためにはこうする必要があったという話である。事実要所要所ではライターが想定してたであろう感情を受け取ることはできたし、終盤での慟哭はすさまじいものであった(後述)。しかし、それもCASE1~3の存在あってのことであり、CASE0単体で見た場合、やはり大した物語ではないと一蹴するだろう。

二つ目が、終盤の展開にご都合主義を持ち込んだことである。最後、世凪との別れに涙した者は多いだろう。だが、その後の世凪との再会はどう思っただろう。おそらくだが、これは割れる。「は?」と呆れ返るか、再開に再び涙するか、だ。前者はあれだけもう会えないと言っていたのに(読者視点では)すぐに再開を果たしたために、感情よりも理性が先行してしまった。後者は逆に、感情が先行し、理性を抑えつけたか、もしくは感情によってご都合主義が隠されたか。正直これまでの感情をライターの想定通りに受け取っていれば、これについて喜んでしまう。なぜなら世凪に再び会えたことが至上の喜びである筈だから。まぁ、これについてはあれからいろいろと考えてはみた。特に根拠もなく、プレイから時間がたっていて曖昧な記憶が多く不確定な推測ではあるが。つまるところ海斗が人々に「世凪という物語」を語り続けたために、あの「世界」で世凪という概念が生まれた。あの「世界」は世凪である。世凪の頭の中である。どこへ行ってもあの中の住人が踏んでいる大地は世凪であり、空気も水も世凪である。そこに「世凪という概念」が生まれた。しかしそれもまたあの「世界」にある時点で世凪である。そこで「世界」は世凪という存在を了解した。「世界」と概念が調和し、以前の世凪と同じ人物が顕現した。……ちょっと自分でも何言ってるかわからない。だからなんていうか、あの「世界」は世凪の頭の中。その中に「世凪」っていう人の認識が共有される。つまり世凪の頭の中にまた別の世凪っていう認識が共有されてるって状況で、それが調和することによって、世凪の頭の中に「世凪」が顕現した……と。正直伝わった気はしないけどこんな感じですはい。

一応こんな感じに無理矢理な理解はしてみた。ただ、本当に無理矢理だしやっぱりこの展開はちょっとなぁと思う。だから一つ目はともかく二つ目は明確に減点対象となった。最初に言った「傑作」になり‘‘得た‘‘作品というのは心からの言葉であるだけに、非常に勿体ない。

ただ、何度も言ってる通り、CASE1~3と0への繋がりは見事であるし、1~3を単体の物語で見ても価値は高い。良い作品であるだけに不満点が目立ってしまうが、少なくとも買って損をすることはないと断言する。

『さくらの雲*スカアレットの恋』

なぁなぁ、まさかとは思うけどわたしのフォロワーに2020年中にこれクリアしなかった人はいないよね? わたしでなくとも多くの人が今年中にやれと何度も言ったんだから。もう知らないからね。もう2020年は二度とやってこない。残念だったな! わたしは貴様らに一生マウント取り続けるからな! 2020年にやっておけばよかったって言っても煽り続けるからな!

閑話休題

冬茜トムの最新作。この作品が名作であることはプレイ前から自明であり、また傑作に届き得ないことも必然であった。しかし確かな爪痕を残し、『アメイジング・グレイス』とは別種の感情を抱かせた。あの時わたしは冬茜トムというライターに対し、その技量に対する惜しみ無き称賛を送った。この度彼の技量に対する驚きは些か落ちていたものの、やはりライターとしての力量はすさまじいものであると感じた。多くの人が感じていたであろう所長との別れの悲しみ。これは全ての人が最序盤からわかっていたことだ。タイムスリップというジャンルの時点でそれは不可避である。なればこそ、そこに至るまでいかに感情を構築するか。これに関して、いやはや、流石だ。彼はもともとキャラの魅力を引き出し、愛着を沸かせること得意だとは常々感じていた。本作に於いても遺憾なく発揮され、所長というキャラクターを最大限魅力的に描き切っていた。所長以外のキャラが少し弱いと感じたが、まぁ仕方ない。寧ろ過去作のキャラが立ちすぎていたと考えれば今作も十分なものであった。

 

 

 

2020年にやっておけばよかったって言っても知らないからな! やる機会があったのにこれ以降にプレイした人は一生後悔してろ!

アインシュタインより愛を込めて』

……ふぅ、この作品は信者向けです。わたし含め、新島信者は絶賛し、そうでない者たちは様々な意見あれどストーリーを誉める人は少ない。描写不足、ああ、確かにそうだ。この作品についてブログで書いた内容は基本的に頭の中で補完した。本編の役割は妄想の根拠を探すみたいなものだ。正直に言って、これを名作に分類するのは少し気が引ける。まぁシナリオがいかにも新島って感じだし。基本ヒロインに追われたいんだけど最後には自分で追う。ストーリー構成としては『はつゆきさくら』と同じ。普通に考えて信者受けはいいよねって。ただこれも正真正銘の名作になり得た作品ではあった。そうするには足りないものがあまりに多いけれど。もうちょっと何かできたんじゃないかなぁ……。あとは来年出るって言われてるロミメインのアペンドに注目だね。あれが良かったらこの作品への信者以外の見方も変わるかも。変わらないかも。

まぁ結局作品の評価なんてそれに何を求めてるかってことだ。信者たちは「新島夕」を求めていた。少なくともそれには答えていた。悲しいことにそれ以外の部分ではユーザーのニーズに答えられてはいなかったよ。

ただ、日常会話とかキャラ同士の掛け合いは客観的に見ても普通に面白かったからこの作品を誉めるところがないもないくそげと断定してる人には賛同しかねるかな。それだけじゃ足りないのはわかるけど誉めるところが何もないってのは言いすぎじゃない?

今年は魅力的なヒロインが多かったなぁ

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うん……うん……。所長と凛は前から好きだなと思ってたけど、まさか由奈ちゃんがここまでとは。

そういえば

恋愛×ロワイアル、これもまたいい意味で期待を裏切ってくれた。見方によってはこれが今年一番良かったと言っても過言ではない。アサプロの作品は数年前に一度プレイしたきりだったけど、ちょっと後悔したくらいにはよかった。フォロワー曰くかりぐらし恋愛が本作と同じレベルで面白いとのことだからいつかプレイしたいね。

まぁ真の覇権は『竜姫ぐーたらいふ』なんですけどね!

今なら追加シナリオもあるから! のほほんとした日常をドラゴンと一緒に送りたいと願うそこのあなたにおすすめ!

最後に

良くも悪くも上の三つが印象的な年だった。因みに明確な順位をつけるならさくれっと1位。白昼夢の青写真2位。恋ロワ3位って感じ。アイこめはね……扱いが難しい。後半に出た作品に偏ってる感は否めないけど抑も前半に殆ど新作買ってないしなぁ。良かったのはATRI。だけどここで語るほどではないかなとも思う。良かったけど。ゴミはSHUFFLE2。Navelの死亡診断書。つり乙作ってた会社はもうどこにもないよ。残念だけどもうあきらめよう。SHUFFLE2について散々悪口言うのも悪くない気がするけど面倒だったから割愛。っていうか言いたいこと全部他の人のブログで見たからね。

いやぁ、冬茜トムの新作を拝めたってだけでいい年だった。来年も良い作品がたくさん出ますように。それではまた。