思考溜り

その名の通り、ここには思考が溜る。どんなに崇高でも、下賤でも、わたしの思考の全てはここに溜る。

『月の彼方で逢いましょうSweet Summer Rainbow』感想

まず初めに私はつきかな本編未プレイだということ。それを念頭に置いたうえでこの記事を読んでほしい。

とりあえず本編のダイジェスト版についてだが、よくできていたと思う。未プレイの私でもしっかりと内容が理解できたし、面白さも伝わってきた。しかしところどころ「薄いな」と感じる部分があった。それに関しては本編でもしかすると何かあったのかもしれないが、買う予定はないので真相は闇の中。

 

スクール編ダイジェスト

主人公奏汰とヒロインの雨音が出逢い、付き合ってとある目的を実行するまでが本編のスクール編の内容となる。正直なところシナリオ自体はそこまででもなかった。知り合って、話をしていくうちに仲良くなって、付き合う。行ってしまえばかなり平凡。肝心の目的についても、親に復讐するために新商品の発表をめちゃくちゃにするというもの。そこまではいいのだが、これについて雨音は幼少期父と別離してからずっと抱いてた気持ちと思われる。それを奏汰がピンチだからやめようと言う。奏汰と出会って雨音も変わったと解釈すればいいだけの話だけれど、どうも腑に落ちない。直前に奏汰とも話し合ってこの作戦を実行すると決めた雨音。実行は奏汰だったため、当然最も危険なのは奏汰。それを分かったうえで実行するのだからそれは相当の覚悟のはず。にもかかわらず、あっさりと奏汰が危険だからやめようと言う。いやいや、なら最初からこの計画をやめろよと。

 

スクール編SSR

起伏に欠ける。セッ…の描写が多すぎる。雨音の家族の思い出をサンフランシスコで巡るというのがメインテーマ。映画を撮影し、奏汰が内面的に成長するというのがもう一つのテーマ。アフターに続く大切な思い出の一つになるということは重々承知だが、どこか面白みに欠けた印象。

 

アフター編ダイジェスト

恥ずかしながら、先刻薄いと感じたストーリーで少しウルっと来てしまった。スクール編の時に父の遺品としてスマフォをもらっていた。そのスマフォはロックがかかっており、正解はrainbow、つまり雨音の名前だったという落ち。ではなく、まだパスワードはあって、それはkanataだったという。どういうことかというと、雨音の父グレイはスマフォですべての人が繋がれる、そんな世の中を目指していた。それは時間軸に縛られず。何が言いたいか、グレイはすべて事前に知っていたということ。雨音が奏汰と結婚することも。つまるところグレイの目指した場所は、すでに到達していた。時間にとらわれずに繋がったのだ。まぁ、言ってしまえばこれだけ。

 

アフター編SSR

このために本作があるといっても過言ではない。家族の幸せ、そのすべてをありったけ詰め込んだ。子供のつきこは本当に愛情が湧いてきてしまった。結婚して、出産して、幸せな家庭を築く、それがどれだけ尊いことか、実感させられてしまう。また今まで一枚も発見されなかったグレイが写ってる写真が見つかったときは…泣いてない。ともかく幸せ、その一言に尽きる。それ以外の表現を私は知らないし、するつもりもないのだが。

 

全編通して褒め称えたいのが、キャラが複数出てきた時の会話の面白さ。keyもそうだけど、陳腐な感動もの書きたがる人はどうも日常描写、とりわけ複数人との会話が非常に上手だと感じる。

 

点数:68~71(68がこれだけで見た点数。71が本編プレイによって上がりうる最大値) 文章:普通 味:甘々