思考溜り

その名の通り、ここには思考が溜る。どんなに崇高でも、下賤でも、わたしの思考の全てはここに溜る。

『DEATH STRANDING』について

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コジプロによるメタルギア後最初の作品である今作。かたや神げと称えられ、かたやくそげと言われ、賛否両論だが実際はどうなのか。またわたし自身どう感じたのか、それを伝えられたらと思う。

 

ゲーム性について

本作は荷物を届ける配達の仕事をそのままゲームにしたというもの。説明だけを聞くと正直な作業ゲーと言われる類のものを一点に集約したもののように感じられる。無論それをゲームにするのだから、他のゲームとは違うものになっている。言ってしまえば、わたしは“面白い”と感じた。本作はレーダーがあり、それを使うと敵の位置やアイテムの位置、そして地形の険しさが可視化される。最も緩やかな地面が水色、少し険しくなっているところが黄色、かなり険しくなっているところが赤で表示される。荷物を運ぶ際にそれらの見極めは重要で、最終的な評価に関わる場合もある。また、黄色以上の場所で走ると転ぶことがあるので無闇に走ることもできない。

他にBTやミュールと言った敵キャラが出現する。前者は多少強引でも、近くに行くとしゃがみ、間近では息を止めるこれらを徹底すれば基本見つかることはない。後者はまず主人公と同じようにレーダーを使用するため、見つからないようにするのは困難。一応レーダーを無効化することもできるが、わたしは最後まで安定して無効化することは出来なかった。もしコツとかあれば教えてほしい。一番安定したのは走るかバイクで突っ切るか。これなら運が悪くない限り突破できる(ミュールがいる場所の中心部を突っ切る場合この限りではない)。

本作の繋がりというテーマにも注目したい。ストーリーは後述するとして、ゲームにも繋がりが各所に見られる。それが一番の醍醐味と言っても過言ではない建設についてだ。本作では進みづらいところに橋をかけて楽に進めるようにしたり、高い崖にロープを垂らして安全に降りられるようにしたり、休憩所がないところに休憩所を設置して休めるようにしたりと、ゲームの進行を楽にするための要素が数多くある。しかもそれらは設置して終わりではない。設置した時点で共有され、自分の設置した建設物が遠い誰かの世界で有効活用されているかもしれない。それに対しプレイヤーは制限時間内ならいくつでも「いいね」をつけることができる。別にいいねされたから、したからどうということはない。ただそれで「繋がって」いる。その事実が我々の心を暖かくする。

そして肝心の配達についてだが、はっきり言って賛否分かれるものであることは否めない。本当に荷物を運ぶ、それに尽きるからだ。ゲームに爽快感やアクション性、そういったもののみを求めてる人には悉く合わないだろう。逆に、ゲームを楽しもうと自ら工夫するタイプの人には合うかと思われる。

わたしはこの作品を通して小島監督のゲームに対する姿勢を欠片でも感じ取ることができていたら嬉しい。監督は「良いゲーム」を作りたい、そう本気で願っていると感じた。それは必ずしも「楽しいゲーム」ではないかもしれない。だがそれは仕方ない。諦めて別のゲームをしよう。だからこそデスストランディングは神げたり得るし、またくそげたり得る。

ある意味小島監督はクリエイターに最も向いていて、かつ最も不向きな性格なんだとデスストランディングをプレイして感じた。

 

ストーリーについて

とても良い話だった。「繋がり」を大切にしている本作で、人との繋がりと物理的な繋がり、それらをストーリー的にもゲーム的にもしっかりと意識させる内容だ。

わたしの中で勝手に考えている「名作たり得る作品」のテンプレートをしっかりと踏んでいた(決して悪い意味ではない)。ストーリーに関しては是非とも手に取って確かめてほしい。今回はストーリーに関しての感想を書きたいわけではないからだ。ともかくストーリーは非常に良く、それだけのために手に取る価値は十分にある。映画好きを意識させる展開の仕方や、監督の各所へのこだわりは見ものだ。

 

UIについて

MGS5のシステムを踏襲しているであろう今作のシステム、やはりわたし好みだったと常々感じる。ただ問題があるとすれば、少しばかり文字が読みにくいことだろうか。これもMGS5から踏襲してしまっているようだ。

 

以上がDEATH STRANDINGに関してのわたしの思ったことだ。偏に名作だ傑作だと言いづらいものではあるが、間違いなく「良いゲーム」であり、小島監督にはこれからもその「良いゲーム」を作って欲しいと思う。