思考溜り

その名の通り、ここには思考が溜る。どんなに崇高でも、下賤でも、わたしの思考の全てはここに溜る。

塩の混じった砂糖味

男が女を犯すという行為、わたしは強い嫌悪感を抱かずにはいられない。

それはそうだ。犯罪行為だ。

まぁ勿論現実での話ではない。創作物の話。

レイプは、男女間の性差を否応なしに感じさせる。それがとても気持ち悪い。ただ犯されてる人がかわいそうだとか感慨じみたことはここでは言わない。性差を感じることだけがわたしの心を果てしない不快感に塗れさせる。どう足掻いても変わらない、不変の事実。仮に性転換をしたとしてもわたしが男として生まれたという事実は依然として付きまとう。

だからだろうか、わたしは筋肉をつけることが嫌い。握力18ボール投げ10m未満。抑も上から投げることができない。そうやって、わたしが力の弱さを示すと決まってみんな笑いながら

「ホント力弱いなーwww」

と言う。それがわたしの弱さを認めて、周知の事実となっているようで嬉しかった。男女問わず、みんながわたしの腕力を最弱と認めて、まるで小動物をめでるかのようにかばってくれた。

きっとこれは男女の性差に対するわたしなりのアンチテーゼなんだろう。「男らしさ」、「女らしさ」を強調されるたびに反対のことをして、気付けば今のわたしが出来上がっていた。

でも、やっぱり女の子として生まれたかったなぁ。お洒落とかして、町を歩きたかった。今のわたしがお気に入りの服と言えば、かっこいいスーツだとか、インバネスコートを上に羽織ったりだとか。そういう服装の女の子は素敵だけど、それよりももっと、ステレオタイプな恰好をしたい。勿論今でもできるし、したこともある。だけどどこか、何か、違和感を感じてしまう。わたしが、どんなに綺麗で、細くて、白い体だったとしても、やはりわたしは男の子なのだと。気付く。気付いてしまう。気付かざるを得ない。だって男の子なのだから。

でもね、わたしは男の子であることを今すぐやめたいって、思ってるわけじゃない。勿論、できるならしたいけどね。男であることに満足はしてるよ。結局性差というものは事実として存在してて、その中には悪いのも良いのもある。極端な話、中身は男、体は女として生まれることができたら素晴らしい。なんて、創作上の話。

昨今何かと目立つクソ女さんがね……。女が性的傾向として持っているものの悪い部分をすべて集めてできたような人が良く目立つ。

いつかこんなことを言った。‘‘世間一般で言う女に対するステレオタイプを自分に求め、男に対するステレオタイプを女に求めてる。‘‘と。わたしはそれなりに「女らしく」在りたいかな……。別にそれを他人に押し付けるつもりはまったくないけど。あ、でもクソ女さんみたいにはなりたくないね……。

はぁ、可愛くないりたいよ。男のままでも、女になっても。

『メルクリア ~水の都に恋の花束を~』感想

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※本作の√は4つありますが、私は今回そのうちの一つのみをプレイしました(理由は後述

前語り

タイトル画面の雰囲気は神秘的でありつつも、どこかやさしさを感じさせる。物語前半の雰囲気はやさしさに包まれている。しかし後半に近づくにつれてどこか不穏な雰囲気が漂い始める。けれども、それすらやさしさに包まれていて、やはり私の心を温める。結局、この世界は最後まで優しかった。すべては寄り添い、ワタルとリアを心から祝福する。何処にも悪意というものが存在しない。それは空想上の概念。溢れんばかりの善意で満たされているのだ。

ああ、なんと綺麗な世界であろう。不純物の存在しない、創作上の世界の様ではないか! よく目を凝らして見るがいい。眩しくて見ることができないだろう。さながらファンタジーの世界だ。なればこそ、魔法というものが存在しているのかもしれない。

やさしさとは、善意とは、ファンタジーであって、現実に存在し得るものではない。どうにもしっくりくるではないか。おお、これはいい、いいぞ。故に私はこの作品をファンタジーと呼ぼうではないか! 皆が憧れる世界とはまさにこのことだったのだ!

我々が再三問うてきた疑問は今まさにここで解決したぞ! この世界は、きっと悪意でできていたんだ。

 

存外に、面白かったです

ふわっとした日常要素が強めなのかなと読み進めていたらあらびっくり。それはラストへの布石でしかなかった。おそらくは日常の大切さを説き、そのうえで別れを演出することが本作の最も大きな目的であろう。単純かつ雑な部分は多々見受けられたが、いざクリアして振り返ってみれば、なかなか良い作品だったなと、そう思える内容であった。

この物語の根幹は日常、その一点に尽きる。ひたすらに普通の日常を送り、別れまでの時間を大事に過ごす。それが尊いとか、もっと大事にすればよかったとか、そんなことを言うのではない。ただ大切に過ごした毎日が、そのまま大切な記憶となり、とこしえを紡ぐのだ。それは100年経とうと忘れることのない、お守りのようなもの。何も持っていくことのできない海底で、ただ一人メルクリアは記憶を胸に沈んでいく。

なんともキサラギGOLD☆STARの沙弥√を思い出させる展開だ。だからこそ比べたくなるが、実際展開だけならメルクリアのほうが面白いと思う。過程についてはキサラギのほうが面白かったが。テキスト自体はそんなに長くはないものの、時間の経過を感じさせる工夫は感じられた。キサラギの沙弥√と言えば、壮大な別れを演出したくせに一瞬で帰ってきたことが真っ先に思い出される。

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号泣って程でもないが、まぁ少しウルっとはきた。

 

テンプレートとテンプレート

キャラをテンプレートで固めすぎて逆に個性ある。そんなレヴェル。なおここでのテンプレートは悪いものとする。

第一に、日未子というキャラがいるが、こいつがまぁ酷い。対して育ちがよさそうでもないのにわよましょ語尾。勘違いも甚だしいカス女。いちいちうるさい。存在自体が不快。

第二にエルナ。勘違いで縛り上げた相手にごめーんで済ませるカス。ついでに痴漢魔。

この二人が聳え立つカス。他も嫌にテンプレートが揃ってるがここまで不快なことはなかったのでよしとする。(清修(友人キャラ)はいいキャラしてた)。

最初のリア√以外入りたくなかったというのはこれが原因です。

 

は?

リアが生贄になります。そんなの絶対嫌だ! byママ

せや、儀式の間に閉じこもって入れなくしたろ!←まぁ親だもんな

リアが泣いてる。悲しいですね。

~翌朝~

リアが泣いててかわいそうなので部屋から出ます。リア、生贄頑張ってね。←は???

一日も経たないうちに部屋から出て、直前ご飯を食べないことがあれだけ強調されてたのに特にこれといった症状もなく。何事もなく部屋から出てきました。

ママは何がしたかったの……?

こんな感じで一部展開が甘くてただの笑い話になってしまったような場面が3,4個あった。

 

最後に

えっと、退屈と感じる場面は多々あったけど楽しめたことには楽しめた。リア√しかプレイしてないけどそれなりにプレイ時間も多かったし。何より世界観が綺麗。

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ヴェネツィア×魔法という最高の組み合わせ。通常背景も勿論いいんだけど、花が散ってるのが特にいいのでね。

因みに結構頭わるそうだな~と思う表現いくつかあったのでそれはうん。

エス=キリストって神様知ってる? 的な言葉があった。

キリストは神様じゃないよ。仮にライターがコプト派だったとしても世間的に正統派ではないことはわかっている筈なのでそれを明記すべき。

この言い方、性格悪いってことはわかってるけど、どうにも地の分から頭の悪さを感じた。

…………面白かったですよ!?

 

点数:66/100 文章:4/10 味:とても甘い

『ロスト・エコーズ』感想

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えー、本作、まぁ事前の情報で問題点は多いもののそれを上回る良さがあると言われ、そのつもりで読み進めた。なので主に評価の基準としてそれがあるということは留意いただきたい。

ということで良かった点と悪かった点、それぞれを明確化したいと思う。

先ずは良かった点

  • キャラ同士の掛け合いが面白かった
  • 過去パートは現代パートとは違う面白さがあって、終始飽きずに読むことができた
  • 話の本筋自体は良かった
  • Vをヴと表記していた

宜しくない状況に陥ってしまった幼馴染を過去改変して救う、これ自体は全然面白そうだし、実際読んでても名作たり得る力はあったと思う。うん。うん。でも名作ではなかったね……。どうしてこうなった……は悪かった点に書くので一先ずここでは良い点を書くわけですが。晶穂ウザと思ったりする部分はあったけど基本的にテキストは引き込まれるものであった(一部晶穂√の後半等失速していきなりつまんなくなったなと思うところはあるけど)。確か本作のライターは桜城十萌氏だったか、多分彼の実力なんだろうなと。

まーほんと、キャラが良かったのでね……。割とそれだけで楽しめた。とはいえ500円セールで買ったものなので相当のクソゲでない限り元取れないということもないので満足度で言えばかなり高めなんですが。因みに好きなキャラ、

琥珀≧千羽耶≧誾千代>結佳>加弥>武緒>雛緒>晶穂

といった具合。上三人はとても好き。

それと、えっちシーンは結構よかった。絵ではなくテキストが(絵も良かったけどえっちさについてはそこまで)。

続いて悪かった点

  • 構成がところどころおかしい
  • ストーリー上の矛盾点がちらほら
  • 一部展開が雑

ごめんなさい、正直今回はこっちがメインです。

本作は最近のゲームにしては割と選択肢は多い方かな、と思うのだけど、その選択肢に振り回されてるというか。選択肢後に明らかにさっき聞いた話をまたするということがあった。一応スルーすることもできたので、そうすれば違和感なく読み進めることができるとは思うが、今から戦国の世に行きます。それについての情報です。……聞かないわけないじゃないですか?

それと雛緒√に入る時の共通にて、雛緒ではない誰かが雛緒の体に表出するというイヴェントがあった。よくわからなかったがその時は雛緒√の布石かなと思い無視したのですが、おかしい。雛緒√終わってもそれについての言及が一切ない。それどころか最後まで終わっても何一つ言及がない! 未完成疑惑あるなこれ。まぁこういった具合に、抑も蒔いた設定を回収しきれていないということもまた減点ポイント。

他には里久の寿命について。卯実じゃないほうの神(名前忘れた)との契約で里久の寿命を1万日奪うというのがあったけど、結局影響はないに等しかった。里久のその後を思えば~なんてことを言う人もいるかもしれないけど、私としては作中に出ていないのだから影響はない、というか意味がない。

次に矛盾点について、加弥BADで里久は加弥と性行為をしてしまったために戦国の世に残されてしまった。一方誾千代との別れの時、性行為をした。しっかり中に出して。武緒のときはいい。中に出してないと明示されていたから。でも誾千代との行為時はしっかり中に出していたと思うんですよ。未来を見たら加弥は孕んでたけど誾千代は孕んでなかったとか、そういう話ですかね? もしそうなら明示しないと成立しないのでないとは思うが。

で、次は展開が雑だったことについて。これは全体を通して言えることだけど、晶穂√がかなり顕著だった。新しいイヴェント始まったと思ったらもう終わりそうとか。起結の繰り返しをずっと見てる感じ。晶穂√、本当に本作随一のつまらなさ。次いで卯実√。雛緒と琥珀はまぁよかった(出来自体は琥珀>雛緒)。結佳については普通に楽しめた。でもやっぱり全体的に展開が雑!

 

正直悪い部分を挙げると本当にきりがない。でも結果的には面白かった、そう思いはしたのでOKみたいなところある。

どこが良かった? と聞かれると私は迷わず過去パートと答える。それぐらいに過去パートは良かった、というか引き込まれた(ずっと過去パートでもいいくらい)。

刺さる刺さると言われたものの、実際はどうだったか、と言えば刺さることには刺さりました。過去パートある程度進めたあたりで胸にゲイボルグがね……。ただまぁ、気が付くとそれがコンバットナイフに代わっていたのはご愛敬。

名作足り得る、それはそう。名作足り得る作品ではありました。

 

点数:68/100 文章:6/10 味:旨味

大人……大人……?

わりぃ、やっぱつれぇわ……。寄る年波には勝てぬか。どんどんどんどん年を取って、気が付いたら還暦、恐ろしい。

そしてな、年齢には年齢相応のものがあってね……。30,40でエロゲやってる、これはまぁ正直いいと思ってる。傍から見たらその年で何やってんだだろうけど、趣味に情熱を燃やせるのは素晴らしいよ。うん。別に趣味がどうのこうのって言いたいわけじゃないからさ。

わたしが言いたいのは気持ち、その持ちようですよ。昨今何かと話題に上がる「こどおじ」。かくいうわたしも昔から(途中何度か引っ越しがあったものの)同じ部屋に住んでいるし、今のところここを出ようという気持はまったくない。それどころか親から無理なら養ってあげるよとか言われてるしやる気も起きねぇ。……就職はするつもりだけどね? しかしだ、部屋から出ようという気持ちには欠片もならない。一生この部屋で過ごしたいぜ……。でもなんか駄目みたいな風潮、あるよね。つらい。

年を取るにつれて、駄目なことが増えていくんだ。特に重大な問題の一つが、ベッド事情である。えっちな方じゃないよ。今わたしのベッドにはかなり多くのぬいぐるみが置いてある。まぁこれは割と30半ばあたりまでなら意外性という意味で割と受け入れられそうではある。でも40超えたら流石にきついよなぁ。わたしでもきついと思うし。ところがどっこい、これがなきゃ寂しくて眠れないの! それに加えてこういうのを乱暴に扱うことが本当に嫌いで(踏んだり、ちょっと汚そうな場所に置いたりとかも絶対無理)、つまるところ捨てるとかもっての外で、でもいつか処分しなきゃいけないわけで、詰み、なんですわ。

さてさて、いつまでも子供みたいな、なんてことを言われたりするんだろうか。はぁ、庇護される側ではないんだよなぁ、きっと。大人になれ、この言葉は思っていたよりも遥かに残酷な言葉だったと痛感してる。道を歩いてるオッサン、彼らが自分と同じようなことを言っていたらちょっと引く。……そういうこと。

あたしよ、お願いだから「成長」してくれ。もう子供じゃないらしいから。はぁ~~~。まぁわたしの普段の態度も割と問題ある気はしなくもない。基本的にみんなから「かわい~」とか言われるようなキャラクターを意識して生きてきたので庇護されるのが当たり前という感覚は無きにしも非ず。おっさんが、可愛いとか、キモイだろ、普通に、考えて! まーだオッサンではないのでセーフ。セーフ……。セーフ…………。

そんなこと考えてるから成長できないんだよ!! ま、まぁ、極論? 自分が気にしなければいい話だし? 最悪、成長なんてする必要はないんだけど? だって客観的に見てそれ以外はとても優秀だし? これくらいの欠点……。

抑もぬいぐるみ抱いてるオッサンを主観で眺めるっていう状況が嫌すぎる!!

「こどおじ」主観体験とか嫌だ!!

つまりそういうこと。精々まともな大人になれるようフォロワーのみんなはわたしを応援してね?

さようなら。

『恋愛×ロワイアル 乃々香&蓮菜&由奈 ミニアフターストーリー』感想

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簡単なお話ばっかりでとうとうIQが0になってしまいました。ユーザーの需要を余すことなく綺麗に満たしていて非常に満足感の高い仕上がりになっている。……そう、ヴォリューム以外は! まぁ分かってたけどね! 前の作品未プレイだけどめっちゃ短いってみんな言ってたし。終わったときも

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まじでこれだったので「お、煽ってんのか?」みたいな気持ちにはなった。もう少しあってもいいでしょ……。

ただまぁさっきも言った通り、シナリオ自体には何ら不満はないのでそれで相殺されてる感(しきれてないのは置いといて)。短いながらも本編で良かった部分もしっかり詰め込まれていて、しかもそれらのバランスもしっかりとれてる。これでもっとヴォリュームがあればなぁ……!

それと、本編と比べて登場人物のサイコパス度が上がってる気がする。乃々香√の最初、何があったと思う? ヒロがオナニーしてるんですよ。しかもしれをピンクと乃々香が見てるんですよ。そんでもって普通に会話してるんですよ。チョーっと最初からパンチが強い……。因みに例の如く愛ちゃん含めた3P はありました。

そんでだ、蓮菜√は真面目にやるのかなと思ったらそんなことはなかった(真面目は恋ロワ基準とする)。最後の最後でママとせっ……。しかも蓮菜が見てる横で。正直ね、あってもおかしくはないとは思ってた。でもそれはこの平和な世界観でやったらどうなの的なことになりかねないし、やらないのかなーと。でもやったね、やったよ。それはもうびっくりしたけど普通にえっちだったので満足です。

で、この流れからすると由奈ちゃんルートもふざけてるのかな、と思いきや、(他√と比べると)真面目だった(真面目の基準は以下略)。ずっと由奈ちゃんとしかしてなかったしね。

 

総評としては面白かったけど、少なすぎですと。ブラックサンダーみたいな作品だった。いや、ブラックサンダーが1個100円で売られてるような感じ。

 

点数:59/100 文章:6/10 味:甘々

【初めての二次創作が】『とあるホモの枝』あとがき【BLだなんて】

[R-18] #さくレット #BL とあるホモの枝 - 或夏凛の小説 - pixiv

↑さて、生まれて初めて二次創作を投稿したわけですが、まさかBLだなんて……。いやですね、ちょっと前まで所長の死に際書こうと四苦八苦してたんですよ。でもね、どうも筆が乗らないんですよ。そんな時フォロワーとの会話で気が付いたらさくレットでBL書きますってなってたっていう。そしたら思いの外楽しくて今に至る。

まぁ内容については今更語ることもなし。読んでくださいと。ネタバレに相当する情報もないし本編に直接のつながりもないので未プレイの方も。一応本編をオマージュした表現はいくつか入れてますが、そんなの本編未プレイだとなんのこっちゃって話ですし大丈夫でしょう。

そういえば名前、或夏凛と言うのですが、これはTwitterIDのAlkaliPが元です。これを平仮名で「あるかりん」。中学の頃に思い付いて以来ずっと使ってる名前です。この音が妙に好きでねぇ……。それである日小説書きたいなと中3あたりに思い、感じにして、或夏凛。まぁこのころは酷かったけどね。どれくらいかというとなろうの底辺レヴェルの作品を馬鹿にできないくらい。設定とかオリジナリティの欠片もない。敵の‘‘幹部‘‘だとか、教皇だとか、公爵だとか、そういう言葉をやたらと使いたがる。中二病真っ盛りだったのだ! 一応書いたものは全て保管してあるけど、目を覆いたくなる。

これは高2くらいまで続けてたんだけど、その頃にいろいろあってやめた。まぁやめたと言っても小説の体を成した文章を書くのをやめたってだけで、別に文章自体は割と書いてたけどね。なーんかさ、継続的な生産ができない、抑も小説という形の文章書くのが苦手。思えば早い、すぐに面倒になってやめたというワケ。

因みに高2あたりの文章は今見ても結構まともで面白かったりする。比較的。そして最後の作品なんかは普通に面白かったからびっくりしたわ。まぁ未完成なんですけどね(夏目漱石リスペクト)。

小説、難しいっすね! でも今回は、諦めずに、続けられたらな、と。そう、思い、ます。

一次創作作品も出したいなぁ……。アイデアだけなら腐るほどあるんですがね。それを形にするやる気が一切ない! 悲しい。

終わり。次回作品投稿したら会いましょう。

『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』についての長ったらしい報告

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本記事は『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』について知らないほうがいいことが多数含まれております。ご注意ください。

はじめにと最後には大丈夫です。

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

ここでは大層な考察を披露するつもりはありません。飽く迄プレイした人ならわかることをつらつらと並べて感慨に耽る、そんな記事を目指しています。

前にも穢翼のユースティアについての長ったらしい報告という記事を書きましたが、それと同様『長ったらしい報告』では個人的にお気に入りの作品について語るというものです。今回対象となった『アメイジング・グレイス』、具体的な点数で言えば87点とユースティアと比べて大きく劣るものであります。しかし何度も申し上げている通り点数と言っても飽く迄その作品の一面的要素の評価でしかなく、それだけですべてを決めるというのはやめていただきたい。全体として見た場合、優れている点、また雑な点、そういったものを総合評価したものがここでの「点数」であります。どんなにこの部分が良くとも、他に悪い部分があれば総合評価は落としています。また、個人的な感情、つまるところ「好き」についてもなるべく排除するように努めています。

そうした観点で見た場合、どうしても「点数」だけでは語れぬことが多くあります。そのためにこのブログを立ち上げ、また本文をしっかり読んでほしいという思いから「点数」等は最後に表記しています。私としましては作品を評価する際に最も見てほしいのが「好き」か否か、ということです。事実『アメイジング・グレイス』は単なる「好き」度合で言えば100点に近いものであり、それは『穢翼のユースティア』すらも上回ると思っております。しかしながら「好き」の数値化にはなかなか難しいものがあり、故にこそこうやって文章を書くことによって表しています。

また今回この記事を書くにあたって最も大きな要因となったのがあめぐれの二週目をプレイしていたということ。それによって一週目では拾えなかった伏線が次々と発見でき、前回とはまた少し違った視点で楽しめたというのも大きかったと思います。

 

例の壁画事件

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そういえば、時計がなぜか音声で時間を伝えていて、なぜかロックは音声認識という無駄にハイテクな機械で、ビデオ再生機のボタンは記号だけで、街中だってどこにも文字はない。

パスワードを用いなくとも入室できる施錠システム。

カレンダーがなくても日付を確認できる文字盤のついていない時計。

禁止事項をひと目で指し示した‘‘絵‘‘。

(だからこそ──この町の人は、絵から意図を汲み取る能力を持っている)

 そう、文字がない。

普通なら絶対にある筈のもので、普通なら絶対にないわけがない。それを物語終盤までまったくそのことを意識させず、にもかかかわらずそれを匂わせるような描写は多くある。作中での「聖書」の扱いもまた巧く、キリエに密着して初めて地下室に侵入した時、キリエは書類の山を全て「聖書」であると言った。そこはシュウの言葉から察するにすぐ目の前のものすらまともに認識することはできず、たとえ本であると認識できたとしても聖書であるとはわかるわけもない。だがキリエは聖書だと言った。

何故だ? それは本を知らなかったから。本というものを、聖書という形でしか知らなかったから。

これが、こんなものが──壁画だなんてあるはずがない!

「本当のことなんだよ!! ただの落書きじゃないんだ!!」

それは落書きでこそあれ、絵でも模様でもない、12月25日を予言した警告文だった。

「見たまんま──文字通りの意味だよ、ここに書いてあることは事実なんだ!」

 ……ない。……ない。……ない。……ない。……ない。……ない。……ない。

ない。ない。ない。ない。どこにも、ない。

文字が、ない。

そんなこと誰が予測できようか。ある筈のもの。ない筈がないもの。文字。それを欠いて発展した文明などないというほどに重要な存在。だがそれを欠いた状態で彼らは生活している。明らかな作為。それを目の前にして、私はただただ固まっていた。驚きすらも烏滸がましい、まさに天才の所業を前にして、平伏していた。

ここに至るまでの道、演出、そしてライターの力量、全てが綺麗にかみ合って、一つの到達点が生まれた。

 

名女優キリエは天才がすぎる

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物語の始まりから、終盤ギドウと対峙するまで一切ぼろを出さなかった天才女優キリエ。しかしそれをほのめかす描写は作中幾つもあって、例えばオーロラナイトの占いの回ではキリエが最初ヘビ(一芸に特化した天才タイプ。周囲の人とは違う存在であることが多い)選んだが、直後ライオン(保守的な性格とは真逆、常に目の前の壁を越えようとするチャレンジャータイプ)を選んだこと。コトハが何度も「私は女優キリエの大ファンなんだ」と言い、決して監督キリエが好きとは言わなかったこと。

「ギドウは、あたしに共感してほしいとかなんとか言ってっけどさ────」

そして、そんなキリエの口からは。

誰もが予想しえなかったであろう言葉が出る。

「あたし、それ、全然わかんねーんだわ」

はあーーーー!? いやー、天晴ですよね。こんなにも綺麗に騙されるとは。特に壁画事件の後で警戒心丸出しだったから余計に。ギドウの言う通り、こんな天才に負かされるのなら本望ですよ。どうですか、名監督コトハさん。名女優キリエさんの演技は。見事破壊に魅せられた監督という役を演じきったキリエさんと、女優という役を演じきったコトハさん。私はこの演劇になら、言い値を払いますよええ。

 

エヴァーハルトさん!?

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ここら辺の繋がり、他と比べると重要度は少し薄れるものの、気が付くと非常に気持ちのいいものだった。初見時ギドウあたりの名前まで見るとあとはもういいやということでリリィ先生やアンナ(画像)のほうは見ていなかったためリラの正体について頭を悩ませていた。

先ずアンナ=リラ。それでアンナはフォークトラントのアレイアの学生。当時18かそこらとして推定年齢56あたり。おそらくリリィ先生は娘。また青リンゴを食べていて、ループを経験済み。赤リンゴは恐らく死亡で特に匂わせる描写もなし。

作中何度も出てくる映画『時を巡るアンナ』。

そしてフォークトラントの解体、足寄町同様「アポカリプス」で破壊される予定だったが、何者かに邪魔をされ、結局無事に解体されることとなった。

これらが全て繋がっていると分かった瞬間の快感と言ったら。

それとリラはキリエがオムツ買ってたお店のばあちゃんというのをよく聞くが、それについてはよくわからない。まぁ町の中にいることは確定で、他に余ってる人と言ったらこの人しかいないので多分あってるんだろうけど。

 アンナはシュウたちと同じことを経験してきたんだと思うと、心が沸き立つ。でもそれだけにリリィ先生密着時のアポカリプスで逃げ惑う人たちを少し小馬鹿にしたような態度は納得しかねる。

リラもね、別にみんなを見殺しにしたいわけじゃないんだよ? でもあんまり手出しはすべきじゃないかなーって」

「リラのいる場所なら安全だけど、ここをみんなに教えるわけにもいかないし……」

「悲惨な現実だけどさ。諦めなければきっと奇跡は起こるんだって信じてるから。ほら、お祈りすることの大切さは知ってるでしょ?」

「この町はやっぱりさ……そういう‘‘運命‘‘なんだよね」

でも今思い返してみるとリラの状況が何となく察せるし、別に変ではない……かな? まぁリラも体制側についてしまったということかな。自分も同じことを経験して、彼らをかわいそうに思う一方、仕方ないと思う気持も。最後の‘‘運命‘‘という言葉を見るに、いろんな気持ちが混ざってたんだろうなぁとは。

追伸:この二人声優も同じなんですね。最初もしかしてリラはリリィ先生なんじゃねとか思ってたけど強ち間違いでもなかったね

 

至上の美意識

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 本作が最もリソースを割いていた要素と言うと、私は「美意識」の認識を読者にしっかりと行わせることだと思う。作中では一貫して「美」の至上性について説き、結果ギドウの犯行動機は飽く迄作品の制作であると納得できた。

 最初に「敵」の犯行動機について話したのはコトハ√でのキリエだった。

「決まってんだろ。美意識だよ」

ヨハネの黙示録に合わせて行動決めるような奴ならなおさらだ。誰がどう考えてもそっちの方が美しい」

「どうせやるなら綺麗に済ませないと意味がねえ。ただむちゃくちゃやったってストレス解消にしかならんだろ」

この時明らかに異常である筈の動機が、なぜかすっと呑み込めた。同時に「あっ……!」と気付かされた。ここに来るまでに他にもたくさんのループをして、この町の「常識」に触れてきた。幼い頃から美術ばかりを習ってきて、時にそれは倫理すらも凌駕し得る。それはわかっていた筈だった。新たな着想を得ることができずにドラッグに手を染める、そんな人がいても流石にこれほどのことはないと思っていた。

キリエがあっけらかんと言ったのも効果的だったのかもしれない。それほどだったということだからだ。本当に、「敵」は美意識のみで、アポカリプスを起こしているのだと。そしてキリエも、コトハも、十分に納得できる理由だと判断している。これは、アポカリプスは、一つの芸術作品であると、この時認識させられた。

 

グッとくる場面

「しょうがないなあ、シュウ君は……」

「なんでも一人で抱え込まないの。そんなの、私の責任でもあるんだから」

そっと……優しく俺を抱きしめてくれた。

「今のシュウ君と会えるのは──これがもう最後なんでしょう? じゃあこれくらい、いいよね」

「泣いちゃダメ。今の私たちが別れても、 また会えるんだから……ね?」

これはシュウがその周回は失敗と悟り、そのことをコトハが察して慰めているところ。心の揺れとしては比較的落ち着いているものの、個人的にはサクヤが泣いているシーンに匹敵するとも思う。

 最後の「泣いちゃダメ。今の私たちが別れても、また会えるんだから……ね?」の部分で涙腺決壊ですよもう。コトハという人間の強さがよく表れている。この周回で得たもの、それはあまりに大きく、もしかすれば次の周回で円満解決できるかもしれない。けれどここに逃げ込めば少なくとも自分と自分の大切な人は助かる。次はそれが無理かもしれない。そんなことはシュウ自身が誰よりもわかっているし、シュウがわかっているということをコトハもまたわかっている。付き合っているわけではないけど、お互いを大切に思っていて、でもこの関係は全て消えてしまう。そんなコトハを想像するのはつらいし、そんな自分を想像するのもつらい。

だから最後にこれくらいのことしたって、別にいいだろう……? 悲しいけど、また会えるから。シュウ君は行っておいで。私は大丈夫だから。

 

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「サクヤは──先輩と一緒に生きていられるなら、それ以上は望みません」

「隣に先輩がいてくれるなら……どんな壁だって、乗り越えられるって信じてますから」

 

いつか──この町も、町のみんなも、全てを救える大団円にしてみせるから。

「きっと、また──会えるから」

この世界で唯一、同じ宿命を背負い、同じ目的を持った二人。けれども彼らのパートナーの目的は悲しいほどに相反していて、畢竟シュウとサクヤも道を違えることが運命づけられた。シュウは1年近くこの町で過ごし、サクヤは18年もの歳月をこの町と、そしてシュウと過ごしてきた。 

 一週目で感じることと言えばこの直前までサクヤが「敵」だと思っていた人たちがその推理は間違っているのかもしれないと思う、もしくは言動の端々からにじみ出る度を越えた悲しみからサクヤが「敵」であると強く確信する。このどちらかが多いと思う。

一方二週目以降のプレイではサクヤの並々ならぬ思いを知っているため、涙を流さずにはいられない。サクヤは知っていた。アポカリプスが失敗する限り、ギドウがやり直しを願って、アポカリプスが成功する限り、ユネかシュウがやり直しを願う。

そうして出た結論が、アポカリプスを成功させ、加えてシュウやその友人たちは脱出させるというパターン。これなら少なくともユネはやり直しを願わなかった。町が崩壊するのはつらかったけど、みんながいてくれるなら大丈夫だから。

サクヤだって町が壊れるのは嫌だった。しかしこれが最善。この上ない成功と言える。なのに、なのにシュウは受け入れなかった。「敵」の正体も目的もわからないままでは到底終わることはできないからだ。この時サクヤはきっと途方もない絶望に打ちひしがれたのだろう。これで無理なら最早このループを終わらせることは不可能なのではないか。それだけに最終ループ(正確にはそうではないが)でギドウを止め、シュウに自らのしたこと、想い、またその時間を打ち明けた時の喜びは計り知れぬものであった。

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「振り向いてほしいんです。構ってほしいんです。サクヤはわがままなんです。すけべな先輩のことがこの世の何より好きなんです」

 

「先輩と──結ばれたらいいな、って……ずっと、思ってました……!  そんなの、先輩からしたら迷惑なのに……っ……!」

 何年も、何年も、シュウと過ごしてきた想いが溢れて、それはここまでの物語を知っている人ならばどの程度か想像に難くない。かまくらを作ったとき、枕カバーを持ってきてくれた時、アポカリプスのことを聞いた時、これでループが終わるかもしれないと思った時、他の誰かと仲良くしてる時、新しいループが始まったとき。

 「何事も──永遠に続くことなんて、ありませんから」

 シュウと一緒にかまくらで座りながら言うサクヤはどこか、悟ってしまっているように見えて。すべてを知ってから見ると、悲しまずにはいられなくて。

ああだから、サクヤのことを想わずにはいられないんだ。君の歩んできた道を知りながら、君の告白を無下にできるほど、私は冷酷な人間ではないから。なのに、なのにどうしてそんなに残酷な二択を迫るんだ? サクヤのことは好きだよ。ああ、勿論好きだとも。でも、ユネだって同じように好きなんだ。私には単なる愛情を超えた、とても大切な人が二人もいる。でも、そうだな……敢えて二人のどちらかを選ぶとすれば……私はユネを選ぶことにしたんだ。ユネはこの町を、みんなを救うために命を削ってようやく願いがかなったかと思えば既に手遅れ。そんなのってあんまりでしょう? 同情ではないよ。単純に一番の功労者が報われていない。そんな現実に我慢ならないだけだ。

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こんなさ、ずっと一緒に戦ってきた人がこんな最期を迎えるなんてあっちゃいけないって誰でも思うよね。
だからユネ、君がいなければ何の意味もないんだ。そんなシュウの切実な願いは届き、黄金の林檎を出現させた。これがどんなにご都合主義的な展開だとしても、喜ばずにはいられない。今までのすべてが、シュウに、サクヤに、そしてユネに帰ってきた瞬間だから。

すべてが終わった、アメイジング・グレイスが訪れた。そういうことなんだよ。黄金の林檎がどうとか、あっちのギドウがやばいって話は結局どうなったとか、サクヤまた一年やり直したの? とか、そういう話はいいんだよ。少なくともプレイ中は。

 

最後に

一生消えない傷跡をこの作品は私に残した。ミスリード、伏線、驚き、そういった要素の物語として、『アメイジング・グレイス』は一つの完成形であると断言する。並ぶ作品あれど、超える作品は出ない。

今回のプレイは2回目であったにもかかわらず、初見時と変わらぬ衝撃を与えられた。知っていたのに、だ。単なるネタバレのように一部分だけではなく細部まで具に知っていたのに、だ。これはもともと私がネタバレに動じない性格であることとは別に、最初にも言ったが、至る道、演出、そしてライターの力量。すべてが綺麗にかみ合っているために、「あの気持ち」を再現するに至ったのだと思う。本作に限らず盤石な力のあるライターはこれができる。だからこそ素晴らしい作品を生み出すことができる。

その素晴らしい作品の頂点に立つ作品、それが『アメイジング・グレイス』である。

人に好き嫌いがあるのは当然のことであるし、気分なども含めてあまり強制するような真似は避けたいが、言わせてほしい。もし未プレイなら取り敢えずプレイして?

絶対に後悔させないとは言わない。実際あまり面白くなかったという声もままある。しかし、だからと言ってこの機会を逃すのはもったいない。人生最高レヴェルの作品に出会えるかもしれない。別にそうでもないかもしれない。

でもね、人生の時間無駄するクソゲだとかそういう話はまず聞いたことがない。だから、ね?

 

 

 

点数:87/100 文章:7/10 味:旨味、酸味少々、苦味ごく僅か